まさかの2020年、もしかしての2021年

日々のこと
Miles Davis of "'Round about midnigjt" from Blue Note made by Kazumi

まさか、こんなことになるなんて。

全世界の人がそう思っただろう。

新型コロナという悪魔に全てを狂わされた2020年。オリンピックを始め、仕事、進学、イベント、遊び、結婚、恋愛、古い友達との再会、海外旅行などなど。いろんな計画に胸を躍らせていたのに、コロナのために諦めざるを得なかった。世界中の誰もが、みんな。

 

かくいう私もそうだった。五月に予定していた鎌倉での作品展(陶芸家・村田真樹さんとのコラボ展)。年末には映画監督・小津安二郎へのオマージュ展。小津作品をイメージした立体作品を、12月12日の命日に合わせて小津ゆかりの鎌倉で開催するつもりだった。しかし二つともやむなく中止。

 

六月には東京・巣鴨のさかつうギャラリーさんで個展「ネンドノモリ」をやらせていただいたのが救いだった。ジオラマ専門店であるさかつうさんは自粛命令が出てしばらく店をクローズされていたが、私の個展開催の時には幸いにもオープンとなった。「東京行きは自粛」命令が私の町に出ていたので、現地には行けなかったが、お客様が熱心に見てくださったとさかつうさんからお聞きし、ホッと胸を撫で下ろした。

 

秋には以前ロンドンでコラボさせてもらったポール・スミス氏の近況を知ることとなり、私の作品が彼の動画で登場していると、彼と近しい人(私の親友でもある)から教えてもらい、詳しくは言えないがいろいろ展開があった。Sirポールを喜ばせることができて私も思わず笑顔になった。

 

しかし、ロンドンは今大変なことになっている。ロンドンには7年前に半年ほど住んだのだが、本当にこんなに自分と合う街があるなんて!と驚くほど私にぴったりの場所で、近いうちに再びロンドンに行こうと決めていた。もちろんSirポールにも会いに。しかし、それすらも遠い夢となりそうだ。ロンドンはおろか、海外へは数年間行けないだろうと言う話も聞く。海外に行けないなんて、江戸時代の鎖国以来だろう。

 

今私は東京からはるか離れた大自然のふもとに住んでいるが、県外に出るなというお達しを聴くたびに監禁されてるような苦しさを味わい、ロンドンとは言わないにしても、せめて大好きな東京、鎌倉、江ノ島に行きたいと切実に思う。雪深いこの大自然の中にいると、心が内に内に向いてくる。下手するとウツになりそうだが、内面を掘り下げたような深い作品を作りたくなる。

 

そうして生まれたのが「ネンドノモリ」のルカであり、ジャズシリーズだ。心に傷を負った捨て猫のルカの哀しみ。マイルス・ディビスなどジャズミュージシャンが背負う心の闇。こういう内面を掘り下げたような作品は、コロナの今だからできるのかもしれない。ステイホームならぬ、ステイソウル。魂の奥深く自分を見つめ続け、それを形にする。希望あふれるハッピーな時だったらできなかった作品だろう。

今年はいろんなことが無残に破れ散った、まさかの一年だった。かと言って来年のことはわからない。引き続き海外はおろか、東京にも行けないかもしれない。大自然のふもとで監禁状態かもしれない。でもそんな状況下だから生まれる作品を通して、思いもがけない展開が広がるかもしれない。そんな、「もしかしての2021年」。甘い期待と笑われそうだが、それぐらいの明るい気持ちで立ち向かいたい。新型コロナという悪魔に打ち勝つために。

 

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