私が今住んでいるところは田舎なこともあって「オラオラ」なオジサンが多い。
体育会系のノリで「俺は強いんだ」アピールをし、わざと荒っぽい言い方をしたり、相手を先制攻撃するような強い言葉を吐く。昔のヤクザ映画を好み、そこに出てくるヤサグレ男に憧れて生きてきたのだろう。「強くて根性ある俺、カッコいいだろう」と同意を求めてくるような、自信満々な態度。
でもね、しっかり見えているんですよ。
実はあなたはHSPだってこと。
とっても繊細で、細かいことに気がついて、神経がピリピリ。HSP特有のセンサーが常に動いているから気が休まる時がない。強い男を演じるどころか、本当は気が小さくて、いつも不安を抱えている。うまくいくだろうか。誰かに何か言われたらどうしよう。
でもこんな弱い自分を見せるのは恥ずかしい。男は強くあるべきだと思っているから。そして家族や大事な人を守らねばならないし、弱いなんて言ってられない。俺は弱くない。強いんだ。ただ細かいだけなんだ。それがどうした。俺を攻撃してくる奴には徹底的に戦うぞ。来るなら来い。根性では絶対に負けないからな。
そんな風にHSPな自分を否定し、「自分は強い」と言い聞かせ、社会の荒波に立ち向かって来た男たち。同じような戦闘態勢の男たちに揉まれ、どんなに心をすり減らして来ただろう。彼らが心を許せるのは家族だけ。家に帰ると外で受けたストレスを発散し、時には八つ当たりし、妻や子どもに暴言を吐いたり手を上げることがあったかもしれない。ただでさえHSPはいろんな刺激を受けすぎてしまい心のキャパが小さい。なのに「俺はこんなに器がでかいんだ」って虚勢を張って無理をするから、そのほころびが一番大事な家族に出てしまう。
あるいはアルコールに頼って心の痛みを感じないようにする。男たちとつるんで飲み会を重ね、さらに強い男を演じ、ますます心の痛みが重なっていく。
その心の痛みを誰にも理解されることはなく、どんなに孤独な闘いを経てきたことでしょう。でもね、あなたがHSPで相当無理してるってこと、隠していてもわかるんです。あなたが放つナーバスなピリピリした雰囲気、細かすぎる気配り、やたらと人の言動を気にするところ。そしてパワーストーンプレスレットや数珠を手首にはめているHSPオジサン。何かにすがりたいほど不安な証拠ではないでしょうか。
もう、こんな無駄な闘いはやめませんか?
HSPな自分や、弱さをしっかり認めてあげましょうよ。一生懸命無理して戦ってきた自分をいたわるために。「自分の弱さを受け入れられるひと」これが本当の強さだと思います。そして、そんな人こそ「男らしい男」なのではないでしょうか?昔のサムライややくざ映画のスターではない、等身大の自分。HSPで繊細で気が小さいけれど、裏を返せば人の痛みに敏感でとても優しい。そんな人に、人は寄り添いたくなるんじゃないでしょうか。荒くれた戦闘態勢の男に、イマドキの人が惹かれるでしょうか?もう時代は変わったんです。戦う時代じゃなく、「お互いの特徴を認めて共存していく時代」なんです。
さあ、あなたが背負っている戦闘服を脱いで、楽になってください。HSPのあなたは、何も着なくても十分ステキな人なんです。もう無理をしないで、等身大の自分で自然体で生きていきましょうよ。
一人で突っ張っているあなたの後ろ姿に、そっとエールを送ります。どうかあなたが生きやすくなりますように。あなたの日々がもう戦場でないことに気がつきますように。